現代日本語のひらがなに対応する文字がないドゥナン語の音は、ここでは以下のように表記しています。
1.「か」「き」「く」の鼻音はそれぞれ「゜」を付けて「か゜」「き゜」「く゜」と表記する。
例) あか゜ "私が" かか゜ん ~ かんか゜ん "鏡"
2.子音 t(タ行), k(カ行)の清音でも濁音でもない音は「っ」をはじめにつけて表記する。
例) たー "田" だー "家" ったー "舌"
「つぁ」「ち」「つ」「ぱ」「ぴ」「ぷ」、単語内のt, kは清音との対立がないので「っ」の表記はしない。
例) いゆぱし "魚釣り" すたん "来た"
3.小さい文字を付けて表記する。
例) でゃーでぃ "大事、大変"
「与那国語辞典」と違うところ、その理由。
「与那国語辞典」では、1.は「あんか゜」のように「んか゜」の二文字で「か゜」の音を表記しています。実際には、この「か゜」の前の「ん」の音は一部の単語意外では発音されないため、「か゜」一文字で表記します。「与那国語辞典」でも発音記号表記では[aŋa]のように「か゜」の前の「ん」に当たる音は表記されていません。
「与那国語辞典」はドゥナン語の単語をカタカナで表記し、2.の音(発音記号では[t']のように" ' "付き)を対立の有無にかかわらず、ひらがなで表記しています。将来ドゥナン語で読み書きする際に外来語などをカタカナで表記する可能性があるため、カタカナ・ひらがな混じりの表記はしません。また、単語内の2.の音は日本語話者が表記通り発音してもほぼドゥナン語の音で発音でき、煩雑さを避けるためにも特別の表記はしません。
言語名は、その言語の話者が自分たちの言語を呼ぶときに使う言葉をそのまま使うのが一般的なため、与那国語を指す「どぅなん むぬい」から「語」の部分を取った「どぅなん」を使っています。Dunan (Yonaguni-Ryukyuan)「ドゥナン語(与那国語)」と併記することもあります。
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